雲の峰掲載作品(2026年)
1月号(第415号)
当月抄
石榴裂け数多の命露にす
青葉集 「数多の命」
木犀の香り北から南から
石榴裂け数多の命露にす
雨粒を従へ紅葉且つ散りぬ
赤のまま鳥の朝餉は賑やかに
枇杷の花川沿ひに香を伝へつつ
朝焚火煙は古都へ靡きけり
発ちてすぐ畦に降り立つ寒鴉
青葉集前々月号鑑賞
彼岸花小川の左岸右岸にも
課題俳句 「朝寒」佳作
朝寒や一段高き鳥の声
誌上句会 4点句
お帰りと言ふ人もなく鉦叩
かきもり句会 主宰選
蓮の骨なほも虚空へ身を反らす
2月号(第416号)
青葉集 「冬の月」
冬の霧街の音まで隠すかに
阿の狛に積もる銀杏の落葉かな
積みおける藁隅々に霜の花
明けてなほ空に残れる冬の月
暫くは朝日に耐ふる霜の花
石蕗の花残し新居へ向かひけり
笹鳴に明け笹鳴に暮るる藪
課題俳句 「蒲団」特選
蒲団干し古都の狭間の日を貰ふ
誌上句会 4点句
赤のまま明日は故郷となる道に
かきもり句会 主宰選
日の出まで霜の最中にゐたりけり
3月号(第417号)
青葉集 「初御籤」
畑凍る明けゆく空を映しもて
熟慮てふ言葉連なる初御籤
小社に祝詞の響け山始
大寒の土手に人影なかりけり
冬靄の先へ鴉の二羽三羽
山茶花の根元に散らす己が色
鴨の群れ艦隊の如進みけり
青葉・若葉抄(前月号より)
笹鳴に明け笹鳴に暮るる藪
課題俳句 「初湯」特選
初湯出づ新居のにほひ身に纏ひ
誌上句会 特別選者入選・1点句
主逝く庄屋屋敷の竈猫
かきもり句会 主宰選
北吹くやふるさとの山騒がせて
4月号(第418号)
当月抄
吟じつつ翁の歩む春隣
青葉集 「春隣」
吟じつつ翁の歩む春隣
雨しとど臘梅の艶流すかに
春浅し耳の奥処に風の音
手にうけてたちまち消ゆる春の雪
うぐひすの谷渡りきく旧隧道
一斉に畦に靡ける花薺
梅の香やトレイルランの靴の音
課題俳句 「立春」佳作
春来る山の奥にも手前にも
誌上句会 主宰推薦 3点句
枯木立切り絵の如き影を成す
かきもり句会 主宰選
光背の如き朝日や春きざす
5月号(第419号)
当月抄
古都彼岸英語で道を尋ねらる
青葉集 「英語」
春一番傘を横手に持ち替へぬ
良き色の傘の干さるるひひなの日
蒲公英や校舎の影を避くるかに
雁帰る天井川の土手の影
冴返る長屋の隅の辻仏
花馬酔木越しに御陵を仰ぎけり
笑顔なき士卒の遺影椿落つ
古都彼岸英語で道を尋ねらる
課題俳句 「春日」佳作
春の日や帝の三人眠る場所
誌上句会 主宰推薦 7点句
風止みて風向き残す枯尾花
かきもり句会 主宰選
蓬生ゆ葉裏に朝日浴びさせて
6月号(第420号)
青葉集 「竹の春」
花びらが傘に貼り付く遊歩道
掃くごとに色増ゆる庭桜東風
人形の冠に足るクローバー
ちちははの位牌新たに竹の秋
春陰や物置小屋にフラフープ
清明の雲ゆるゆると大河越ゆ
葉桜や嫗一人の畑仕事
課題俳句 「三椏の花」佳作
三椏の花郷を指し天を指し
追悼 高野清風同人会顧問
また一人句友見送る徂春かな
かきもり句会 主宰選
鯉幟風止みてなほ大眼
7月号(第421号)
当月抄
雀の鉄砲風に照準狂はさる
青葉集 「雀の鉄砲」
雀の鉄砲風に照準狂はさる
桐の花吟士は背筋ぴんと張り
霊峰の青葉を撫づる風の音
古井戸に来て涼風の音聞きぬ
石楠花を潜り愛宕の神詣で
好日や名画に添ふる花さうび
新しき墓石に映ゆる青楓
麦秋や雨に煙れる竹生島
課題俳句 「鯉幟」入選
風を得て子の笑顔得て鯉幟
かきもり句会 主宰特選
長考の俳人ひとり薔薇の門
