top of page

雲の峰掲載作品(2025年)

1月号(第403号)
当月抄

冬麗や工場の煙真つ直ぐに
青葉集 「冬麗」
御所四温門の弾痕影を濃く

花枇杷や畦を駆け行く通学児

男島女島寄り添ふ岸や石蕗の花

冬ぬくし波に目覚むる浜の宿

寒菊や岬に果つるさざれ波

冬麗や工場の煙真つ直ぐに

石垣の間を塒に冬の蝶

​菰巻の松の連なる野面積み

課題俳句 「釣瓶落し」入選

鉄橋の奥より釣瓶落しかな

誌上句会 4点句

​霊峰の木々の息吹を霧と成す

かきもり句会 主宰選

​寒林や継ぐ者のなき登り窯

2月号(第404号)
青葉集 「古祠」
寒菊や神を移せる古祠

花枇杷や遠くに街の覚むる音

枯葦に鳥の隠るる日暮かな

山茶花や本殿裏に細き川

木の葉雨光を帯びてゐたりけり

富籤を買ふ列長き師走かな

一陽来復踊り字踊る一茶句碑​

青葉集前々月号鑑賞

雨上がる釣舟草を野に残し

課題俳句 「綿虫」入選

綿虫の漂ふ先に父母の墓

誌上句会 3点句

​生きるとは己が為なり竹の春

かきもり句会 主宰選

​あと云へばおうと応ふる初鴉
 

3月号(第405号)
青葉集 「冬木の芽」
命てふ繋ぎゆくもの冬木の芽

初声や一番列車動き出す

街頭に初雪映ゆる夜明けかな

地に着かず枝葉に着かず雪止みぬ

朝の日に成人の日の花ティアラ

松過ぎて森の残れる社かな

真直なる参詣道や花ひらぎ​

課題俳句 「初鴉」入選

呟きて鎮守を望む初鴉

誌上句会 主宰推薦 6点句

​石垣に猫の居座る四温かな

かきもり句会 主宰選

​節分に追はるる鬼の赤ら顔

4月号(第406号)
青葉集 「深紅に深紅」
淡雪や天王山を対岸に

八重の梅深紅に深紅重ねけり
次々と車窓に溶くる春の雪
変はらざる遺影の笑みや桜餅
料峭や墳墓の上の鳥一羽
料峭の古都よりあふぐ比良比叡

早春やカフェ立ち並ぶ宿場町

青葉集前々月号鑑賞
​一陽来復踊り字踊る一茶句碑

課題俳句 「薄氷」特選
足跡の一つひとつに春氷

誌上句会 1点句
​外つ国の言葉飛び交ふ年の市

かきもり句会 主宰選
斑雪畦に置かるる藁一把

©Copyright 2021-2025 by Hideki KODAMA

All Rights Reserved.
bottom of page